レース〈個人種目〉


シマノ鈴鹿ロードレース クラシック

全日本選手権出場をかけ国内トップ選手が激しくバトル

国内トップチームの選手が参加するシマノ鈴鹿ロードの最高峰のレースとして昨年名前を一新してJCF公認大会として生まれ変わったシマノ鈴鹿ロードレース クラシック。今年から全日本選手権の申込資格獲得大会に認定され、上位30位以内の選手には翌年の全日本選手権の申込資格が与えられます。今年は国内のUCIコンチネンタルチームやJBCF(※)レースに参戦するクラブチーム所属のトップアマチュアも含め174人がエントリーしました。
国内のUCIコンチネンタルチームは、スタート前の入場セレモニーで1チームずつ紹介を受け、ピットウォールに詰めかけた観衆とハイタッチしたりしながら次々とコースインし、スタート位置に付きました。
全日本選手権の申込資格取得大会となったことで、レースは序盤からUCIコンチネンタルチームの選手が積極的にアタックを繰り返し、小集団での逃げ集団を作ろうという動きが見られましたが、序盤はなかなか決定的な動きとはなりません。レースを決める動きがあったのは5周目。宇都宮ブリッツェンやマトリックス・パワータグなどトッププロチームらが逃げ集団を形成しメイン集団との差を広げ始めます。この集団に選手を送り込めなかったシマノレーシングチームはメイン集団を牽引して追いつこうとしますが、最終周回に入るときには30秒以上の大差に。逃げ切りを確定した先頭集団ではフィニッシュに向けての攻防が繰り広げられましたが、S字の下りの前で宇都宮ブリッツェンの岡篤志選手が単独でアタック。岡選手はトップチューブにまたがって前面投影面積を減らすエアロフォームで一気にリードを広げ、そのままゴールまで逃げ切って勝利を収めました。

※JBCF(全日本実業団自転車競技連盟):プロ選手からホビーレーサーまで、幅広い自転車選手のためのサイクルロードレースを主催。日本最高峰の 21チームによって争われる「Jプロツアー」を統括しています。

優勝

岡篤志選手
●本レースの様子はこちらでご覧いただけます。
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エリート

2組ともゴールスプリントで決着

フルコース7周回とシマノ鈴鹿ロードクラシックを除いて本大会の最多周回で争われるエリート。本大会のJCF登録者が出場できるクラスの中で、個人タイムトライアルとともに今年からディスクブレーキロードでの出場が解禁されました。今年は約180人エントリーし、2組に分かれてレースを行いました。
1組目、2組目ともに先頭集団はスプリントポイントがかかる周回で動きが活性化するもののそこから逃げに持ち込む選手は現れず、大集団を保ったまま周回を重ねていきました。
最終周回でも両組ともスプリントポイント争いをきっかけに集団が縦長になりました。決定的なアタックはなく、優勝争いはともにゴールスプリントに委ねられました。その結果1組目は河野史瑛呂選手が2位の選手をわずか0.01秒抑えて優勝。2組目は横一線のスプリントから鷲田幸司選手が鋭く飛び出して優勝しました。
スプリント賞(※)は1組目が豊田勝徳選手、2組目が富家悠太選手で、ともに序盤から確実にポイントを稼ぎ他の選手を圧倒しました。

※スプリント賞:コースの途中にスプリントポイント地点を設け、指定された周回数で上位通過した選手に規定のポイントを与え、合計ポイントが最も高い選手を表彰するもの。合計ポイントが同点の場合は、スプリントポイント地点を1位で通過した回数が多い選手を上位とします。1位通過回数でも同点の場合は、先にゴールした選手を上位とします。

各組の優勝・スプリント賞

1組 優勝:河野史瑛呂選手 スプリント賞:豊田勝徳選手
2組 優勝:鷲田幸司選手 スプリント賞:富家悠太選手




5周の部

土曜日2組目のスプリント賞はゴール着順で確定

5周の部はJCF登録選手も出場可能なレース。JBCF(※1)のレースに出場するトップアマチュア選手も出走するレベルの高いクラスです。土日ともに200人近い選手が2組に分かれて熱戦を繰り広げました。
土曜日1組目はスプリント賞(※2)のポイント争い以外は比較的まとまった集団でレースが推移。最終的な順位は大集団でのゴールスプリントに委ねられ、これを制した鷲田幸司選手が優勝しました。
一方2組目は、優勝とスプリント賞の一挙両得を狙おうという小林孝臣選手や桐野一道選手らが果敢に集団から飛び出す動きを見せる展開に。その後、スプリント賞は最後のスプリントポイント地点を通過した段階で4名が同点となったため、最終決着はゴールの順に委ねられました。そしてこのレースを制したのはスプリント賞を競った選手らのひとり、前川広大選手。優勝とスプリント賞の一挙両得を成し遂げました。

※1 JBCF(全日本実業団自転車競技連盟):プロ選手からホビーレーサーまで、幅広い自転車選手のためのサイクルロードレースを主催。日本最高峰の 21チームによって争われる「Jプロツアー」を統括しています。

※2  スプリント賞:コースの途中にスプリントポイント地点を設け、指定された周回数で上位通過した選手に規定のポイントを与え、合計ポイントが最も高い選手を表彰するもの。合計ポイントが同点の場合は、スプリントポイント地点を1位で通過した回数が多い選手を上位とします。1位通過回数でも同点の場合は、先にゴールした選手を上位とします。

各組の優勝・スプリント賞

土曜日
A1組 優勝:鷲田幸司選手 スプリント賞:天春雄也選手
A2組 優勝:前川広大選手 スプリント賞:前川広大選手

日曜日
B1組 優勝:吉川幸佑選手 スプリント賞:山崎裕平選手
B2組 優勝:恩田拓選手 スプリント賞:恩田拓選手




3周の部 / 3周の部女子

女子クラスは伊藤選手が2日連続で優勝とスプリント賞を獲得

フルコースを使って行われる3周の部は、JCF登録選手も出場できるカテゴリーです。この種目は女子クラスでは最長周回となります。大会両日とも開催され、男子は両日とも約350人が3組に分かれてレースを行い、女子クラスは土曜日が約30人、日曜日は約50人が参加しました。
特に目立った動きがあったのは日曜日の男子2組目。小林孝臣選手が残り1周回のスプリントポイントラインをすべてトップ通過し、早々にスプリント賞(※)獲得を決め、フィニッシュ順位でも後続を2秒以上離して優勝。女子クラスでは伊藤優以選手が前日に引き続きスプリント賞とフィニッシュ順位ともに1位を獲得。圧倒的な強さで完全優勝を果たしました。

※スプリント賞:コースの途中にスプリントポイント地点を設け、指定された周回数で上位通過した選手に規定のポイントを与え、合計ポイントが最も高い選手を表彰するもの。合計ポイントが同点の場合は、スプリントポイント地点を1位で通過した回数が多い選手を上位とします。1位通過回数でも同点の場合は、先にゴールした選手を上位とします。

各組の優勝・スプリント賞

土曜日
A1組 優勝:森一馬選手 スプリント賞:塚本隼選手
A2組 優勝:柳瀬悠理選手 スプリント賞:山口雄大選手
A3組 優勝:鷲田幸司選手 スプリント賞:小林孝臣選手
女子A 優勝:伊藤優以選手 スプリント賞:伊藤優以選手

日曜日
B1組 優勝:吉川幸佑選手 スプリント賞:山崎裕平選手
B2組 優勝:小林孝臣選手 スプリント賞:小林孝臣選手
B3組 優勝:初川弘浩選手 スプリント賞:山口雄大選手
女子B 優勝:伊藤優以選手 スプリント賞:伊藤優以選手




2周の部 / 2周の部女子

レースは短距離ゆえ、めまぐるしい展開に

フルコース2周回で行われ、シマノ鈴鹿ロードの個人種目では1時間サイクルマラソンに次いで参加者が多い人気種目です。土日ともに開催され、土曜日は女子1組を含む計6組 約900人、日曜日は女子1組を含む計5組 約550人のエントリーがありました。
最終周回がスプリント賞(※)のかかるポイント周回でもあるため、先頭集団はめまぐるしいレースを展開。スプリントポイント地点付近では集団がかなり縦長になり、ポイントを獲得した選手が逃げ切りを図ろうという動きも見られるものの、短距離レースゆえに足が残っている選手が多く、ほぼすべての組が集団ゴールスプリント勝負で決着しました。
とはいえ、中学生を除いてJCF未登録者だけが出られるため、体験レースを卒業した人も多く出場するのがこのクラスの特徴。順位に関係なく、マイペースで完走を目指す人も見られました。

※スプリント賞:コースの途中にスプリントポイント地点を設け、指定された周回数で上位通過した選手に規定のポイントを与え、合計ポイントが最も高い選手を表彰するもの。合計ポイントが同点の場合は、スプリントポイント地点を1位で通過した回数が多い選手を上位とします。1位通過回数でも同点の場合は、先にゴールした選手を上位とします。

各組の優勝・スプリント賞

土曜日
A1組 優勝:戸田慎吾選手 スプリント賞:今村公俊選手
A2組 優勝:石山弘喜選手 スプリント賞:神谷直希選手
A3組 優勝:児玉淳治選手 スプリント賞:吉原健太郎選手
A4組 優勝:河野成寿選手 スプリント賞:松野裕樹選手
A5 組 優勝:小久保瑠惟選手 スプリント賞:岡島謙治選手
女子A 優勝:平子結菜選手 スプリント賞:水谷彩奈選手

日曜日
B1組 優勝:若山和明選手 スプリント賞:恩田拓選手
B2組 優勝:王竹友晟選手 スプリント賞:小山祐介選手
B3組 優勝:世古眞太郎選手 スプリント賞:荻野徹選手
B4組 優勝:関口浩平選手 スプリント賞:吉原健太郎選手
女子B 優勝:小林由佳選手 スプリント賞:大蔵こころ選手




ディスクブレーキロードの部

ディスクブレーキロードのためのレース

今年は7月に実施されたツール・ド・フランスを筆頭に多くの世界最高峰のロードレースでディスクブレーキが解禁されレースが実施されました。
シマノ鈴鹿ロードでは、昨年からディスクブレーキロードの専用クラスを設けており、今年は土日2日間の開催に拡大。2日間合わせて60人弱が参加しました。
このうち、土曜日の午後に開催されたA組では、5人が飛び出し、最後の直線でのスプリント勝負に。このレースを制したのは金井良樹選手でした。
当初はロングライド向けのモデルが中心だったディスクブレーキロードですが、最近はレーシングロードやエアロロードにもディスクブレーキ仕様車が登場。スタート地点にはさまざまな仕様のディスクブレーキロードが見受けられ、レース志向の選手の間にもディスクブレーキロードが浸透しつつあることがうかがえました。

各組の優勝

土曜日
A 優勝:金井良樹選手

日曜日
B 優勝:斉藤和哉選手




体験レース(講習会付)

ロードレースの雰囲気に慣れる、初心者のための特別なクラス

レース初心者や経験の浅い方が集団走行やレースでの走り方を体験する模擬レースです。タイム計測と順位の発表するものの、表彰は行いません。出走前に「レース初心者講習会」を受講することが参加条件となっており、学んだことを実践する場という位置づけです。
土曜日に午前2組と午後1組、日曜日に1組の体験レースが行われ、合わせて300人ほどが出走しました。
講習会を受講してスタート地点に並んだ選手たちは、スタートを告げる号砲とともに落ち着いてスタート。フラットペダルにスニーカーという組み合わせの選手も見受けられましたが、選手の多くはビンディングシューズを使っていて、落ち着いてクリートをはめてスムーズに走り出していました。ゆったりとしたペースでサーキット走行をかみしめるように楽しむ選手、ペースが近い選手と集団で走る選手、ゴール地点ではスプリントをする選手など、思い思いにサーキット走行を楽しんでいたのが印象的でした。



1時間サイクルマラソン

今年は土曜日の優勝者が日曜日も制する完全優勝

鈴鹿サーキットの西コースをマイペースで1時間たっぷり走れる1時間サイクルマラソンは、個人種目としては毎年最も多くの選手が走る一番人気の種目。今年も土日で行われ、両日とも550人を超えるサイクリストが出走しました。
土曜日は午前中にレースが行われ、例年よりやや涼しいからっとした晴天の元、号砲とともに選手たちがスタート。女性たちで、ご家族でと仲間を作りのんびりと走る様子が見受けられる一方、上位の選手は集団を形成してロードレースさながらのハイペースで周回。順位がかかるフィニッシュ地点でもゴールスプリントが行われました。結果、小笠原淳選手が優勝。日曜日も制し完全優勝を果たしました。

各組の優勝

土曜日
A 優勝:小笠原 淳選手

日曜日
B 優勝:小笠原 淳選手




個人タイムトライアル

予選を勝ち抜いた猛者が夕刻のサーキットで“最速”の称号を賭けて戦う

出場選手が同じコースをひとりずつ走り、そのタイムで順位が決まる個人タイムトライアル。レースは独走で他の選手との駆け引きがないので、純粋に脚力とペース配分、バイクコントロールの巧みさがものを言います。
午前中に東ショートコースで行われた予選に150人弱が出場。予選を通過した上位20人が順位決定戦に挑みました。
順位決定戦は予選20番の選手から予選1位の選手の順で時差スタート。順位決定戦に出走する選手の多くは、プロ選手が使用するようなDHバーやディスクホイールを搭載したタイムトライアル用バイクを使用、エアロヘルメット、エアロワンピースなどをフル装備していて、このレースにかける意気込みが感じられます。
東ショートコースを走る予選と違い、距離が3倍近いフルコースを走る順位決定戦では、予選上位の選手を下位の選手が逆転することもしばしば。選手がフィニッシュするたびに記録が読み上げられ、最後まで手に汗握る戦いとなりました。今年は予選で1位だった後藤孝明選手が決勝でもトップタイムを記録。2年連続でこの種目を制しました。

優勝

順位決定戦 優勝:後藤孝明選手